3Dプリンターの最大の強みは、コストをほとんど変えることなく、カスタマイズされた何かを作ることができる点にあります。データさえ用意することができれば、個人に最適な形で物を製造することができます。
薬局で薬を3Dプリント
製薬業界で現在研究されているのが「薬のカスタマイズ」です。
ノースカロライナ大学やウェイクフォレスト大学などが共同で研究しているのが、患者のデータをもとに薬の成分を分析するアルゴリズムで、3Dプリンターは生成されたデータをもとに患者にあった薬をプリントできるようにするというもの。
現在の製薬方法では、患者の人種や体重、肝臓や腎臓の機能を考慮することができません。実際のところこれらのデータは人体に影響を与える可能性があるのですが、製薬の段階で患者の詳細なデータを把握することは難しく、さらには患者ごとにカスタマイズすることができないため、仕方なく量産された薬を使用しているのです。
副作用を減らし効果を増大させる
患者のデータやDNAに基づいて最適な薬を生成するアルゴリズムを集中的に研究しているのがウェイクフォレスト大学です。
患者それぞれにカスタマイズした薬を作ることで、摂取による副作用を減らすことができるうえに、効果も増大させられるだろうとして、研究に期待が寄せられています。
これは夢物語ではなく、同大学はすでに実際の患者のデータを元に3Dプリンターで薬を作る実験を行っています。患者によって124㍉から373㍉といった細かな分量を調整し、80錠をプリントすることに成功しています。
IOT時代の製薬
あらゆるデータが統合され、新しい価値を生み出していくIOTの世界が日本でも注目を集め始めています。3Dプリンターは集積されたデータを形にする際に非常に大きな役割を担うことになるでしょう。
医療機器やあらゆるデバイスがネットに繋がり、データが集積されるようになれば、それらのデータを元に薬局がアルゴリズムで最適な薬のデータを生成し、3Dプリンターで作られるようになるかもしれません。
データの収集、分析、データの生成、3Dプリント。この一連の流れがシームレスにつながった時、私たちの生活は大きく変わるに違いありません。
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