3Dスキャナーを使えば物をデジタルデータに変換することができる。データは3Dプリントして再現できるうえに、何よりお金をかけずに「コピー」できる。
3Dスキャナーの進化に伴い、その付き合い方が問題となりそうです。
懐にキネクトを忍ばせ博物館に侵入
アーティストのNora Al-Badri氏とJan Nikolai Nelles氏は、博物館が所有している展示品は、もっと多くの人が自由に触れられるようにするべきだという主張のもと、3Dデータにして配布するプロジェクトをこっそりと計画。実行します。
ターゲットとなったのはベルリンの博物館に展示されているネフェルティティの胸像。博物館に許可をとることなく、懐にマイクロソフトの3DスキャナーとノートPCを忍ばせひっそり3Dスキャンを実行します。
スキャンする様子はこちらの動画でご覧いただけます。
驚くべきことに結果は大成功。誰もふたりの「デジタル窃盗」に気づくことはなく、胸像の3Dデータは作成されてしまいました。
3Dモデルを無料で配布 レプリカも3Dプリント
作成に成功した3Dモデルはデータ共有サイトのThingiverseで無料で配布し、公開から24時間以内に1000以上もダウンロードされる人気ぶり。
さらにふたりはレジンを使用してレプリカを3Dプリントし、カイロの大学に展示しています。こうして歴史的展示物のコピープロジェクトは見事に完遂されたのです。
テクノロジーが生む新たな課題
この件を知りながら博物館からは未だにデジタル窃盗に対する公示は発表されていないとのこと。展示品が盗まれることには最新の注意を払う博物館も、展示品が「コピーされる」ことにはまだまだ警戒が薄いのかもしれません。
3Dスキャナーはこれからますます小型化することが予想されます。写真を撮るように3Dデータが作れるようになってしまう。もちろん写真撮影を禁止している博物館も多くありますが、小型化した3Dスキャナーを見つけるのは難しいでしょう。(実際に今回のふたりの姿も自然に見えました)
よい方向に進むために3Dスキャナーとの上手な付き合い方が求められています。
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