新しい商品が刺さらない。サービスが全然受け入れられない。その一方で爆発的な商品やサービスが存在しているのも事実です。売れる商品と売れない商品。その差はどこにあるのでしょうか。
どうせ企画を立てるなら、ヒットさせたい!ので、今回は高杉康成氏の著作、「一流ビジネスマンは誰でも知っている ヒットの原理」を読んでみました。
1.ヒットの原理はトレンド×ニーズ
いかに優れたサービスであってもトレンドの追い風がなければヒットには至らない。爆発的なヒットの背景には強い潜在的なニーズの存在と、トレンドが隠れているとのこと。
そもそもトレンドとはなんでしょうか。
- 時代の趨勢、潮流、流行のこと (wikipedia)
- 社会の変化に伴って、消費者のニーズが変化し、それに応じた特徴を持つ商品・サービスを求めるようになった傾向 (本書より引用)
つまりは世の中にあるニーズがトレンドです。
そうするとニーズを大きく捉えたものがトレンドであり、それぞれのユーザーが抱えているニーズを隠れたニーズととらえることができます。
1-1.ニーズを捉えてもヒットしない理由
これらを踏まえると、ニーズをしっかり捉えたのに商品がヒットしなかった理由がわかります。その原因は、ユーザーそれぞれに存在している「隠れたニーズ」は満たしているものの、ニーズを抱えたユーザーの数が少なく、トレンドになっていない。ということ。
つまりは対象とする市場が極めて小さいため、ヒットと呼べるまで売上が伸びないのです。ひとりひとりの満足度は高いかもしれませんが、ヒットとは程遠い商品になってしまいます。
こう考えるとヒットの原理がよりよく理解できますね。
1-2.最近のトレンドの事例
世のヒット商品をみているとおおまかなトレンドを感じることができます。実際の商品やサービスがどんなトレンドを満たしているのかみていきましょう。
- 10分ヘアカット:時短トレンド
- 3Dプリンター:研究開発トレンド
- コンビニ惣菜:ひとり世帯トレンド
- ワンダーコア:ながらトレンド
- ダイソン掃除機:個性的なデザイントレンド
なにかと手短に済ませたいという時短トレンドに対し、商談前や合コンの前に少しだけ髪の毛をカットしたいという隠れたニーズをとらえたQBハウス。
スマホを見ながら、歩きながら、テレビを見ながら、など、何かをしながら価値を生み出すことを目指す「ながらトレンド」を見たいしたワンダーコア。
少し高くてもいいから人と違う個性的なアイテムを求めるデザイントレンドを満たしたiPhoneやダイソン掃除機。ハンドメイド商品のフリマが伸びていることも、こうしたデザイントレンドを満たしているといえるでしょう。
1-3.petfigの狙い
Mikanが3Dwaveとして企画したサービスにpetfigがあります。写真を撮って送るだけ。3Dプリンターでペットのオリジナルフィギュアが作れます、というオーダーメイドサービスです。
たくさんのメディアに紹介していただき、お陰様で多くのお客様にご利用いただいております。これはどんなトレンドとニーズを捉えていただのでしょうか。
プレミアムペット用品トレンド
少子化が進む一方で、ペットの数は増加する一方。さらに最近ではペット用品の高級嗜好が進んでおり、より多くのお金を大切なペットに投入する傾向が強くなっています。
オリジナルのフィギュア製作は大切なペットとの思い出を残すことができる「目新しい提案」であったことがひとつの要因であったと思われます。
デザイントレンド
ひとと違うことがしたい、特別な何かを求めるデザイントレンド。petfigは当時ブームの真っただ中であった3Dプリンターをキーワードとして前面に押し出すことで、まさに世の流れに乗っかることに成功しました。
「これ3Dプリンターで作ったんだ!」「え、あの3Dプリンター!?」という会話を生み出すきっかけとして、新しいもの好きのひとを中心に広がっていきました。
これらのトレンドを背景に、大切なペットのために特別なことがしたいという「潜在的とは言えないほど飼い主であれば当然抱くニーズ」にアプローチすることができたのだと思います。
2.いま関心のあるトレンド
トレンドを掴むことの重要性はこれでわかりましたが、実際にどうやって見つければいいのでしょうか。個人的にはテック系のメディアやスタートアップのメディア、テレビ、雑誌を中心に情報を収集していますが、最近気になる流れはこんなトレンドです。
- シェアトレンド
- プチ贅沢トレンド
- おひとり様トレンド
- カスタマイズトレンド
- フリーランストレンド
2-1.所有から共有へ シェアトレンド
シェアトレンドは物を所有するスタイルから、共有するスタイルに関心が移行しているトレンドです。カーシェアリングや自転車のシェア、賃貸のシェアにプライベートジェットのシェアまで存在し、続々とシェアのビジネスが誕生しています。
必要な物を必要な時に必要な分だけ利用するトレンドは、今後あらゆるサービス業に普及していくと思われます。ユーザーは所有する喜びから、利用した際の満足度に重点を置くようになってきていますが、これは物に対する価値観の変化が影響しているのでしょう。
2-2.プチ贅沢トレンド
ちょっとした高級品、いつもより少し高い商品を好むプチ贅沢のトレンドは、スーパーやコンビニで感じることができます。プレミアムやリッチといったワードを使った商品が続々と投入されていて、それが受けていることが、このトレンドの勢いを示しています。
毎日の生活を少しだけ贅沢に演出する。忙しいビジネスパーソンが増えてきていることで、日常に刺激的なエッセンスを加えて楽しむ傾向が感じられます。
2-3.おひとり様トレンド
いまではすっかりぼっち、という言葉が定着しました。結婚する人も減っており、これからますます増えていくであろうと予想されている「おひとり様」。
仕事で忙しく友達にあう時間も、友達を作る時間も気力もない時に、ひとりでも楽しめるサービスが増えています。ひとり焼肉や一人鍋、一人カラオケはもちろん、ひとりボーリングなども登場しています。
2-4.カスタマイズトレンド
自分にぴったりの物が欲しいというのがカスタマイズトレンド。東急ハンズや無印良品でそうした工作機器を利用できるようになるなど、3Dプリンターやレーザーカッターなどの工作機械が身近な存在になっていることもあり、ちょっと手を加えるカスタマイズトレンドは今後も注目したいところです。
2-5.フリーランストレンド
今後全労働者の40%が特定の企業に所属しないフリーで仕事をするようになるという予測も立っているように、フリー化へのトレンドが見て取れます。
フリーランス用の保険サービスを提供するスタートアップや、シェアオフィス、コ・ワーキングスペースの増加はこうしたトレンドを示しています。
3.テック×トレンド
Mikanは3Dプリント、3Dモデル、ARアプリ開発といったサービスを提要していますが、技術を見ていますので、どうしてもテクノロジーに基づいた思考になってしまいがち。
技術をベースに商品やサービスを企画するシーズ思考では、テクノロジーの物珍しさが先行した商品になりがちで、実際のニーズやトレンドとかみ合わなず、結局ひっそりと消え去ることになりかねません。
最先端のテクノロジーは企画する人の感覚を麻痺させる傾向があると思っています。本当はニーズの核心を付いていないのに、テクノロジーがすごいがばっかりに、あたかもその企画がものすごく斬新で素晴らしいものに感じてしまうのです。
企画の際にはトレンド、ニーズ、そしてそれらを満たすための手段としてテクノロジーがあるのだという基本スタンスを大切にすることが非常に重要と言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
新商品やサービスの企画を作らないといけない。。。そんな時はトレンドを探り、ニーズの深掘りをして組み合わせれば、ヒットのヒントに近づけるかも?しれません。
- トレンドの方程式=トレンド×ニーズ
- トレンドとはニーズの集合体
- ニーズとはそれぞれのユーザーが持っている隠れたニーズ
参考にさせていただきました書籍、「一流ビジネスマンは誰でも知っている ヒットの原理」は企画する人にオススメの一冊と思いますのでぜひご一読を!
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