VR(バーチャルリアリティー)の話題がつきない2016年。
ハイスペックなHMDだけでなく、Google Cardboardのような安価なゴーグルも登場したことで、ゲーマーだけでなく、幅広い人がVRにアクセスできるようになりました。
こうした動きの中で、ゲーム以外の領域、観光、EC、コミュニケーション、医療など、幅広い分野でVRを活用しようとするケースも増えてきています。今回はVRを使って新たなEC体験を提供しようとしているスタートアップを事例にあげて、その可能性について見ていきたいと思います。
事例1 : Trillenium
イギリスのスタートアップ「Trillenium」はVR空間内でショッピング体験を提供するアプリを開発しています。すでにβ版としてアプリが公開されています。
スマホやOculusなどのHMDを通じて仮想のショッピングルームに入ることができ、実寸大で展示されている商品を見て回ることができます。展示されているアイテムはすべて3Dデータになっており、様々な角度から見て楽しめるようになっています。
現在はまだサイトから直接購入することはできませんが、将来的にはVR空間内で商品の閲覧から購入までを一貫して提供するようになるでしょう。
事例2 : kabuki ペディア
ベンチャー企業のKABUKIが2017年に投入しようとしているのがVRを使ったショッピングアプリ。越境ECの提供を目指す同社がVRを採用した理由は、日本に来なくても日本で買い物をしているような体験を提供するため。
VRを使うことで地理的な制約を取っ払うことができ、自宅にいながら世界中の「どこか」にアクセスできるようになる。そのアクセスする先が、仮想空間に再現した日本のショップというわけです。
現在開発しているのが渋谷のショッピングモール。ユーザーはアプリを通じて仮想空間のショッピングモールにアクセスし、自由に歩き回りながら商品を見て回ることができます。
VRECは3Dデータとリアルにはない演出が肝になる
VRで商品を販売しよう、展示しようとするならば、乗り越えなければならない課題のひとつが、商品の3Dデータ化です。仮想空間に展示する商品はすべて3Dデータになっていなければなりません。これを解決する現在最も有力な方法が、3Dスキャン、特に写真から3Dデータを作成するフォトスキャンの技術です。
仮想空間でショップを演出する以上、商品のデータはできるだけ軽くする必要がありますが、フォトスキャンで作成したデータはテクスチャの解像度が高く、ポリゴン数を抑えたとしても、比較的きれいに表示することができます。今後、VRでECショップを設置しようとする動きが増えた際には、いかに効率良く商品を3Dデータ化するかが重要な鍵となるでしょう。
仮想空間はバーチャルな世界なので、リアルな世界では提供することができないショッピング体験を実現することができます。ひょっとするとこれは店舗のブランドイメージ訴求に役立つかもしれません。
バーチャルな空間であれば大きなコストをかけずに改装ができるため、極端なところ毎日店舗のデザインを変更することができます。季節によってだけでなく、その時々の購買動向に基づいて変更してもいいかもしれません。
さらには店舗に置くインテリアも、バーチャルならではの物を設置すると面白そうです。オモチャ屋さんでは大きな恐竜が動き回っていたり、アパレルブランドではアイテムを身につけたモデルさんがステージの上でポージングを決めていてもいいかもしれません。
リアルでは決して実現することができない演出を提供することで、「また来店したい」と思わせるきっかけを創出できるようになるのではないでしょうか。
商品の3Dデータ化とバーチャルならではの演出。あとは長時間見ていると目がものすごく疲れてしまうといった技術的な課題をクリアすれば、VRECはより現実味を帯びてくると思われます。
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