製造業を中心に活躍している3Dプリンターですが、アートや伝統工芸の分野でも活用が進んでいます。もっとこうしたジャンルでの企画がしたいと日々企画を練っているのですが、今回興味を持ったのが版画。実際にできるかどうか知るため版画を体験してきました。
テレビで紹介された木版館
この木版館、浅草にある版画の工房なのですが、先日テレビで紹介されていました。
木版館を運営するのは日本人ではなく、外国人のデービッド・ブルさん。版画の魅力にとりつかれ、英会話教師の仕事をしながら独学で版画を研究し、ネットショップで作品を販売しながらキャリアを積み、ようやく持ったお店なのだそうです。
木版画を3Dで出来ないかなぁ
版画は版木と呼ばれる板を彫刻刀などの道具を使って削り出していきます。実際に制作された木版画を見せていただきましたが非常に線が細かく、繊細な作りになっており、これぞ職人技と言わずにはいられない仕上がりになっていました。
手前の板が木版画。これを使って擦ったものがうえの作品です
すべてを手作業で掘り出していくため数に限りがある木版画を、3Dで作ることができればよりたくさんの人が手軽に版画の摺(すり)を体験することができるのになぁ。
そんな漠然としたイメージを持っていたため、この細かさを見てちょっと衝撃を受けてしまいました。。さすがにここまで細かい造形は難しいかもしれない・・・。
実際に摺を体験
木版館さんではビギナーでも手軽に摺が体験できるワークショップをやっていて、ひとり2,000円で受講することができます。さっそく体験させていただきました。
丁寧に教えていただきありがとうございました!
穏やかな雰囲気の中で進行していくワークショップはとても楽しいものでした。たった1時間のワークショップではありましたが、やればやるほど版画の「奥深さ」を思い知らされることに。
絵の具と木版画の絶妙なミックス具合、湿度、触感、すべてが繊細で、絶妙でした。これらすべてを3DプリントやCNCで再現した木版画で提供するのは無理だなーと直感しました。
伝統とテクノロジー
もともと書道をかじっていて、墨絵に興味のある私は、伝統的な作品に興味がありました。そのため伝統に対してテクノロジーをどう貢献させるのかというテーマには大変大きな関心を抱いています。
伝統を維持していくためには後継者問題を解決する以前に、その伝統に対して関心を持つファンを増やさなければなりません。まずは知ってもらう、触れてもらうきっかけが必要です。
木版館のデービッドさんはYoutubeを通じて版画の面白さや制作風景などを世界に向けて配信し、新しいファンを国境を越えて獲得しようとしています。
木版画の3Dデータを無料で配布したらどうでしょう?世界中のひとがダウンロードして3Dプリントし、Youtubeを見ながら日本の伝統を体験できたら素敵ではないでしょうか。
彫り師の数が減っていっている中、テクノロジーが貢献できることはまだまだあると思います。実際に体験したからこそ見えてきたものもあります。どんな形で貢献できるか、企画を前に進めたい。
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