AR(拡張現実)を使うことでこれまでにはない体験を消費者に提供できるようになっています。ゲームなどエンタメの分野で使われることもありますが、販売促進のツールとして利用されるケースも増えてきています。
今回はいち早くARを使った販売促進に取り組んでいる企業のケースを厳選して紹介しながら、ARがどんな体験を提供できるのかを見ていきたいと思います。
1.IKEA : 家具のシミュレーション
これは比較的有名な事例なので、ご存知のかたも多いかもしれません。家具メーカーのIKEAが販促の一環として提供したARアプリ。
IKEAのカタログにスマホかタブレットをかざすと家具の3Dデータが表示され、実際に写っている部屋の映像に重ねて配置できるようになっています。
家具のサイズ間違いを防ぐ
気に入った家具を持ち帰り、一生懸命組み立てたのにサイズが違っていて思ったようなレイアウトにならなかった。こんな悲劇がたくさん起きてしまっています。IKEAの調査によると約14%が間違ったサイズの家具を買ってしまっているというのです。
事前にめぼしい家具のサイズが合うのかどうか自分の部屋で確認できるというのは、購入前の不安を取り除き、購入に踏み切らすという意味で大きな意味があると思われます。
実際に置いた場合のイメージも具体的になりますので、「はやく欲しい!」と欲求自体を強化する効果もあるかもしれません。
2.森永製菓:キョロちゃんの遊べるAR
国民的お菓子、我らがチョコボールで使われたARアプリ。
チョコボールの箱にカメラをかざすとスキーをする3Dキョロちゃんが出現し、コースを滑りだします。雪だるまを上手によけ、アイテムを獲得しながらゴールを目指します。
食べた後も楽しい
通常お菓子を食べ終わると箱は捨ててしまいます。もちろんおいしい思い出は記憶に焼き付きますが、時間が経てば忘れてしまうもの。
食べた後も遊べる箱にすることで、「お菓子を食べていない時でもチョコボールと触れあうきっかけ」を演出し、チョコボールの存在を強く焼き付けることができるものと思われます。
箱ごとにゲームの内容が異なるため、全部の箱を買いたくなる流れを生み出し、顧客単価を伸ばすことにもつながるのではないでしょうか。
3.ケンタッキー:これでどれだけ買える?
おいしいんだけどちょっと高い。プチ贅沢品としてのイメージが強いケンタッキー(わたしだけ?)。そんな同社が、それだけあれば十分ケンタッキーが楽しめるよ!と知ってもらうために投入したARアプリ。
アプリを起動しお札にカメラをかざすと、その金額で買える商品の3Dモデルが表示されるという内容。これなら直感的に何が買えるのかがわかりますし、何より楽しい。
4.ナショジオ
最後にご紹介するのがナショナルジオグラフィックが行ったプロモーションイベント。会場中心に設置されたマーカーの周りに大小様々な動物の3Dモデルが登場するという内容。
会場には大型のディスプレイも設置されていて、3Dモデルと自分たちが一緒に映っている様子を見て楽しむことができます。
最後に
ARを販促やイベントで使用する場合に共通しているのは、これまでには提供できなかった驚きや楽しさを届けることで、何らかの価値を生み出すことができるという点。
ユーザーが抱えている問題の解決をサポートしたり、これまでは捨ててしまっていたものを素敵なアイテムに変えたり。ARにはこれまでの販促とは違う価値を提案できる、そんな可能性があると思います。
販促のツールとしてARは一考の価値ありです。
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