3Dプリントサービスを提供するサイトでは、同時に3Dプリンターで作った物を販売できるような機能を提供していることがあります。
ユーザーはマーケットプレイスに自分で作ったアイテムを掲載することで、商品として販売できるようになっています。代表的なところで言えば、DMM3Dプリントやrinkak、海外ではShapewaysなどが挙げられます。
今回はクリエイターやアーティスト、それとこれから何か企画を立てようと考えているビジネスパーソンの皆様に向けて、どのようにして3Dプリンターで制作した物を販売するのかを解説していきたいと思います。
1.その仕組みを理解する
まず解説に入る前に、メリットを理解するためにも、マーケットプレイスがどのような仕組みで運営されているのかを知っておく必要があります。
下の図は流れを説明したものです。
順序を追って見ていくとこうなります。
- マーケットプレイスに作成した3Dデータをアップして、商品として掲載します。値段やプリントする素材を選択すればOKです。
- 掲載された商品を誰かが気にって購入したとします。するとその購入情報に基づいて3Dプリントセンターでプリントが開始されます。
- プリントされた商品は3Dプリントセンターから購入したユーザーへと直接発送されます。
- ユーザーは商品を受け取ります。
- 売上から費用(3Dプリントにかかる費用や手数料など)を差し引いた分が収益として支払われます。
1-1 : 必要なのは3Dデータの作成のみ
ご覧いただくとお分かり頂けるように、実際に出品者がしなければならない活動は3Dデータの作成と出品の登録だけ。3Dプリントはもちろん、梱包や発送、出入金の管理はすべてプリントセンターが代行してくれます。
売れた分だけ製造される仕組みは、音楽やアプリなど、デジタルコンテンを販売している感覚に非常に近いものを感じます。作り手としてはコンテンツの作成に集中できるため、非常に良い環境であると言えます。
2.3Dデータのアップから販売まで
それではそれぞれのプロセスについて見ていくことにしましょう。
2-1 : 3Dデータの作成
3Dプリンターでは物体の情報を持つ3Dデータがなければ何も作ることができません。アクセサリーでもフィギュアでも、3Dプリンターで作られるものはすべて3Dデータに基づいてプリントされています。
3Dデータの作成方法には2つあります。
- プロの業者に依頼する
- 自分で作ってみる
3Dモデリングのスキルをお持ちの場合は、ご自身で制作されるのがベターです。そうでなくてもチャレンジしてみたいという方は、無料の3Dモデリングソフトがたくさん配布されていますので、その中から自分のあったものをダウンロードしてお使いください。
こちらで無料のソフトをまとめておきましたのでお役立てください。
予算に余裕がる場合や、専門家の意見も取り入れながら3Dデータを作成したいという場合にはプロに相談してみるのもひとつの手段です。
作るものの3Dデータが完成したら、次はデータのアップです。
2-2 : 3Dデータをアップする
作成した3Dデータを3Dプリントサービスにアップします。登録する方法などはここでは割愛いたしますが、オススメの3Dプリントサービスをご紹介しておきます。
2-2-1 : DMM3Dプリント
DMMが運営する3Dプリントサービスです。商品の出品先はクリエイターズマーケットと名付けられ、商品の梱包から発送、決済までを代行してくれます。
- プリント料金が安いので利幅を増やせる
- 販売手数料が無料
販売手数料が無料なのは大きいですね。
URL : http://make.dmm.com/print/
2-2-2 : rinkak
カブクが運営する3Dプリントのマーケットプレイスです。価格はDMMより少し高めですが、サイトのデザインが商品の売買に特化しているので使い易いのがGoodです。
DMMと違い販売手数料がかかります。
URL : https://www.rinkak.com/jp/
2-2-3 : Shapeways
最後に海外のサイトですが最もオススメな3DプリントサービスのShapeways(シェイプウェイズ)。世界最大規模のネット完結型3Dプリントサービスで、世界中のユーザーが利用しています。
世界がターゲットになりますので、無論市場自体もチャンスも大きくなると考えることができますので、出品するならShapewaysをオススメします。
- プリント価格がとにかく安い
- 世界中のユーザーにアプローチできる
この二点が非常に大きなメリットです。プリントの価格が非常に安いため、販売価格を低く設定したとしても収益を確保することができます。
世界中の「珍しいもの好き」にアプローチできる点も魅力的です。(日本ではまだまだ3Dプリンターで作られた物を買う慣習が定着していないため)
URL : https://www.shapeways.com/
2-2-3 : 商品を掲載しよう
3Dデータのアップが完了したら次は出品です。出品の方法はここでは割愛しますが、説明が記されているリンクを掲載しておきますので、ご確認ください。
- DMM3Dプリント:http://make.dmm.com/print/howtouse/
- rinkak:https://www.rinkak.com/jp/help/tutorial?q=tutorial_sell,creator_registration,_ja
- Shapeways(英語):https://www.shapeways.com/tutorials/shops/?li=nav
3 : プロモーション
いよいよ商品の掲載が完了しました。あとは誰かに気に入ってもらうのを待つだけ!というわけにはいきません。サイトに掲載したからといって見つけてもらえるとは限りませんので、しっかりとプロモーションをしていきましょう。
3-1 : 写真を綺麗に撮る
ネットショップでは視覚的情報がすべて。ネットショップで商品の知覚品質を大きく左右するのが写真です。最近はスマホでも工夫次第では非常に綺麗な写真が撮影できますので、参考となる記事を見ながら撮影しましょう。
商品の写真撮影で参考にしたい記事がこちら
3-2 : ブログやSNSでお知らせ
撮影した綺麗な写真と商品ページのURLを乗せたコンテンツをブログやSNSで配信しましょう。知られていなければないも同じ。恥ずかしがらずにどんどん配信しましょう。
少し高度ではありますが、商品が関連しそうなネタを書いているブロガーの方に商品についての記事を書いてもらうのもひとつの手段です。
3-3 : プレスリリースをメディアに送る
ここまでくると少し広報の香りがしてきますが、ウェブメディアにプレスリリースを送るのもひとつの手段として存在します。ウェブメディアに取り上げられると、それはそれは非常に大きな反響が期待できます。
商品の紹介のみならず、3Dプリンターを使って商品を作って売っているというクリエイターとしてのインタビューコンテンツとして提案するのもいいかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この流れで、3Dプリントサービスを使って自作の商品を日本のみならず世界中に販売することができます。
- 梱包や発送は全部代行してくれる
- 決済もお任せできる
- 肝心なのは3Dデータの作成とプロモーション
まとめるとこのような感じでしょうか。
正直なところ、3Dプリンターで作られた物を購入するという文化が日本にはまだまだ定着していませんので、日本の3Dプリントサービスではなく、海外のShapewaysを利用されることをオススメします。
英語なのでとっつきづらいかもしれませんが、それでも世界中のアクティブなユーザー(珍しいもの好き)にアプローチできるのは魅力的です。
わたしもたまたま出品していた猫の指輪がなぜだか売れておりまして(ひとつだけ)、非常に驚きを覚えているのですが、一方できちんと商品企画を立ててプロモーションをすれば、ひょっとすれば結構売れるのでは?などと考えていたりします。
(そのうち企画としてやってみたいですね。Shapewaysでどこまで売れるか!のようなメイカー企画)
商品ひとつから手軽に作ることができるうえに、売れた分だけ生産してくれる。さらに梱包も発送も代行してくれるのですから、使わない手はありません。
相性がいいのでは?と思っているのは、
- NPO法人などの寄付型商品
- ノベルティアイテム
- ファングッズ
そこまで売れるわけではないけれど、あれば嬉しい。寄付型商品などは特にそうではないでしょうか。どれだけ売れるかわからないけれど、オリジナル商品として販売していれば、賛同者もグッズを買うことで募金に貢献でき、NPO自体も募金で活動を続けられる。
量産しなければならない状況ではなかなかオリジナル商品は手にかけられませんが、3Dプリントのマーケットプレイスを利用すれば1個から商品が作れます。
(NPO向けのオリジナル商品開発企画も立てたいと思っています。)
今回は3Dプリントマーケットプレイスで商品を販売するための流れを解説していきました。無料の3Dソフトもたくさんありますので、興味のあるかたはぜひ一度お試しください!
- 3Dプリンターで作った猫の指輪が知らぬ間にShapewaysで売れてた話
- フリーで使える3DCAD、CGモデリングソフトまとめ
- こんなものまで!以外と豊富な3Dプリンターで使える素材
- 3Dプリントサービスを利用する際の注意点と必要なもの
[…] >>3Dプリンターで作ったものをマーケットで販売するまでの流れ […]