プラスチックで造形するイメージが強い3Dプリンターですが、世界中の素材メーカーの努力によって、様々な種類の素材が開発されています。
3Dプリンターで作りたいものがあるけど、素材があるかどうかわからない・・・。ここで希望の素材が見つかることを祈りつつ、ご紹介していきます。
1.そもそも素材とはどんなものなのか?
3Dプリンターで使われる素材は造形の方法によって異なります。
この造形方法なら素材があるけど、こっちの場合はまだ開発されていないというケースもありますので、この違いを理解しておくと3プリンターを選択する際に便利です。
1-1.FDM : フィラメント
素材を熱で溶かしてにゅるにゅると押し出すFDM3Dプリンター用の素材です。
細いチューブになっていて、ホイールに巻きつける形で販売されています。
1-2.SLS:粉末
レーザーで溶かして固めることができる粉末素材です。
1-3.SLA:熱硬化性樹脂(液体)
光造形で使われる素材で、液体状になっています。
造形方法について理解しておくと、なんとなく素材の違いが分かるかと思いますので、以下の記事で造形方法の種類について確認しておくといいでしょう。
それでは早速どんな素材でプリントできるようになっているのか見ていきましょう。
2.ポリアミド樹脂(ナイロン)
粉末の素材で強度と耐久性が高いのが特徴です。
SLS方式の3Dプリンターで使われるケースが多く、強度が高く、値段も手軽であることから、部品の試作品やオブジェの製作などで多く利用されています。
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ポリアミド樹脂の特徴
- 強度が高い
- 比較的安価
- 耐熱性は80~140度
- 染色がしやすい(塗装は難しい)
向いている目的
- パーツや部品の試作品
- 原型
- オブジェやアート作品
- インテリア など
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3.アクリル樹脂
液体で使用する光造形タイプで多く使われる素材です。
表面がなめらかで加工がしやすいため、フィギュアの原型などによく使用されます。費用も比較的安価なことから一般のホビーユーザーでも扱いやすい素材と言えます。
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アクリル樹脂の特徴
- 表面がなめらか
- 加工がしやすい
- 比較的安価
向いている目的
- フィギュアの原型
- アクセサリーの原型
- 部品やパーツの原型 など
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4.ABS樹脂
FDM式の3Dプリンターでよく使われている素材。フィラメントといえばABSかPLAが代表的で、ほとんどがどちらかの素材を使用しています。
強度が高いことが特徴で、家電製品のパーツや車など、私たちの生活に身近なプラスチック素材においてABSは欠かせない存在となっています。
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ABSの特徴
- 強度が高い
- FDM方式でよく利用される
- 工業用製品で多用される存在
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5.石膏
アート作品などで仕様される石膏素材。
素材自体は粉末であることが多く、主にSLS方式の3Dプリンターで仕様されています。
フルカラーでプリントできる3Dプリンターの多くは石膏素材をしようしているため、3Dフィギュアとして提供される商品はほぼすべて石膏でできていると言えます。
石膏というとなんだかざらつきのあるイメージを持たれるかと思いますが、3Dプリントの後にきちんとした後加工を施せば、表面をツルツルにすることができます。
わたしの経験上、国内にある3Dプリントサービスを比較しますと、DMM3Dプリントがコストと品質でダントツのトップであると思います。
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石膏の特徴
- フルカラーでプリントできる
- 強度は低い
- 加工次第で表面がツルツルになる
- 比較的安価
向いている目的
- 3Dフィギュア
- 彫刻などのアート作品
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6.ウッド(木)
木を混ぜ込んでつくられた素材です。
ABS樹脂と混ぜることでFDM3Dプリンターで使うことができます。
木の繊維が含まれていることから、造形後の肌触りはまさに木製商品。プリントしている最中には芳しい香りが漂います。(ABSは吸い込むと体に有害なので吸い過ぎには注意が必要です)
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ウッドの特徴
- 木の繊維が含まれている
- 仕上がりが木製商品のようになる
- 造形中にいい香りがする
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7.ステンレス・スチール
アクセサリーなどによく使われる金属素材です。
ステンレス・スチールはさらにいくつかの種類に分解することができます。
- 7-1 : ステンレス・ゴールド
- 7-2 : ステンレス・ニッケル
- 7-3 : ステンレス・ブロンズ
比較的安価に制作することができることから、世界中のクリエイターが3Dプリントサービスを利用して自作のアクセサリーをプリントして楽しんでいます。
実際に制作した様子の過去記事がありますので、どんな感じでアクセサリーが作れるのかご確認いただけるかと思います。
8.シルバー
アクセサリーの代表格であるシルバーです。
比較的高めな価格となりますが、本格的な仕上がりを希望するクリエイターからは大きな人気を集めているようで、Shapewaysには多くの作品が公開されています。
細かな造形はやや苦手で、細い線や装飾は消えてしまうことがほとんどです。
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シルバーの特徴
- アクセサリーに最適
- 少し高め
- 細かい装飾には向かない
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10.セラミック
セラミックを使用した素材で、プリントした後に焼き上げます。
食器や花瓶といった陶器をプリントすることができるので、オリジナルデザインのマグカップやお皿などを簡単に制作することができます。
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セラミックの特徴
- 耐水性が抜群
- 食器や陶器類に最適
- 比較的安価
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11.ガラス
Photos by Steven Keating.
MITが研究開発中のガラスが使える3Dプリンターです。
現在はまだまだ精度が低く、積層の跡が極めて粗い状態ではありますが、今後開発が進むにつれてシンプルな形状のガラス製品は作れるようになるでしょう。
詳しいニュース記事はこちらを参照いただくといいでしょう。
12.電子回路
電子回路も3Dプリントできます。
専用の3Dプリンターが複数開発されていて、クラウドファンディングなどでは既に一般ユーザーなどから事前購入の受付を行っています。
電子回路が作れる3Dプリンターについてはこれらの記事でチェックできます。
内部の電子回路と外装を同時に3Dプリントができるので、近い将来製品そのものを3Dプリンターだけで作れるようになるのではと注目を集めています。
13.磁石
その言葉の通り、磁石を含んだ素材です。対応3Dプリンターは現在のところFDMのみ。家庭用3Dプリンターで使うことができます。
価格は19ドルからと平均的で、クラウドファンディングで資金調達を開始しましたが達成率は約60%で残念ながら成功には至りませんでした。
14.形状記憶する素材
ポリモーフと名付けられたFDM3Dプリンター用の素材。
形状記憶をすることができ、形がくずれてしまってもお湯に浸せば元に戻すことができます。
15. 燃料電池
3Dプリンターで燃料電池をプリントできるようにしようというノースウェスト大学の研究から生まれたフィラメントです。
3Dプリンターを使うことでこれまでよりも安く、早く、効率的に燃料電池が生産できるようになるのではと注目が集まっています。
16. LED
スタートアップのRohinniが開発しているのはLEDを混ぜ込んだ3Dプリンターの素材。これが完成すればどんな形でも自在にLEDをプリントできるようになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
既に商品化されているものから開発中のものまで、あらゆる素材をご紹介しました。
3Dプリンターの可能性はその機能だけでなく、どんな素材を使ってプリントできるかによって大きく左右されます。それぞれの素材が進化することによって、一体の製品を作れるようになったり、これまでとは全く異なる方法で何かを作れるようになるかもしれません。
まだまだ発展途上の3Dプリンターですが、その未来を変えていくのは素材なのかもしれません。
※新しい素材が登場したら、随時このページを更新していきます。
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