ソニーが2019年に行ったTechnology Dayで公開したことで注目されたVolumetrics (ボリューメトリクス)。初めて聞いた方も多いかと存じますが、簡単に言えば「現実の空間や人物・物体等を3D化する技術」です。
どういうことなのか、早速、公開されたデモ動画を見てみましょう。
ボリューメトリクスのデモ動画
グリーンバックのスタジオの中でダンサーが踊っており、そのダンサーがリアルタイムで3D化され、ARとして表示されている様子が確認できます。
写真から3Dを作成するフォトグラメトリや、ハンディータイプの3Dスキャナーとは異なり、動いている映像をそのままに3D化できていることがわかります。空間もデータとして取得しているため、人が動いている様子までしっかりと再現されているから驚きです。
実際に体験してみた!
先日このボリューメトリクスの撮影スタジオにお邪魔する機会がありまして、そこで実際に自分のボリューメトリクスの撮影をしてもらいました。
先ほどのソニーのデモ動画のようなグリーンバックのスタジオに入り、撮影。スタジオ脇の打ち合わせルームで雑談をしている数分で3Dデータが完成してしまいました。しかもかなりのクオリティ!不気味の谷がないのです。
表情や仕草、ジャケットのシワまで綺麗に再現されており、まさに自分そのもの!
フォトグラメトリや3Dスキャンでは人物の3Dデータを作成するだけでかなりの時間が必要でしたし、その3Dデータを動かすとなれば、ボーンを入れたりウェイトを設定したり、モーションデータを作成したりと、多くの時間をかけなければなりませんでした。
それがたったの数分で・・・
これには感動を覚えました。
ボリューメトリクスビデオをストリーミングで再生する
これだけの3Dデータ、さぞファイルサイズも大きいのだろうと担当の方に伺うと、1分ほどのボリューメトリクスビデオならば100MBくらいで収まるというのです。実際に見せていただいたデモでは、4Gやwi-fi環境でもスムーズにビデオが再生されている様子が確認できました。
しかもそれは端末に保存されているのではなく、ストリーミングでも再生可能だと・・・。Youtubeに動画を見に行くように、今度はボリューメトリクスビデオを見に行くような未来がすぐそこまで来ている・・・。8iのデモを見て、まだまだ先だろうと思っていただけに更に衝撃を受けました。
ボリューメトリクスの市場規模は約5800億円
2020年現在のボリューメトリクスの市場規模は14億ドルで、32.8%のCAGRで推移し、2025年には58億ドル規模にまで拡大することが予想されています。利用シーンはスポーツ観戦などの視聴体験の拡張や、ボリューメトリクスを使用した広告が中心になると考えられています。
現在でもすでにARを使用したキャンペーンは多数行われており、多くの企業や自治体がARを広告に使用しています。より手軽にスピーディに作成できる環境が整いつつある現在、広告で使用されるケースが今後されに増えていくことが予想されます。
想定される利用シーン
- プロスポーツ選手のプレイ映像を練習用コンテンツとして配信
- アイドルやアーティストのライブ映像を購入特典で配信
- タレントのボリューメトリクス映像を店舗の来場特典として配布
などなど、様々なシーンでの利用が想定されます。アップルやGoogleなど、ARに対する積極的な投資によって、よりリッチなAR体験ができるようになったことで、これらの取り組みが多くの驚きを産むことが容易に想像できます。
ソフトバンクが公開しているAR SQUAREのサイトに行くと、様々なボリューメトリクスコンテンツを閲覧することができますので、実際に体験してみることをお勧めいたします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ざっくりではありますが、ボリューメトリクスについて紹介させていただきました。
体験してみた感想をまとめますと、
- クオリティがすでに高い
- 不気味の谷がない
- 数分で十分なコンテンツが作れる
- ストリーミングで再生できる未来も近い
- ファイルサイズが意外と軽い
- 制作コストも意外と安い
今後とも継続して注目して参ります。
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